聖書の読み方

メルマガのバックナンバーを掲載してます 更新は毎週水曜日と日曜日です

2024-01-01から1年間の記事一覧

因果応報という考え方の問題点(7)

前回に引き続き、因果応報という考え方の問題についての解説です。 7.新約聖書の場合(2) さて前回に続き、新約聖書から因果応報についての考え方を見ていくことにしましょう。 今回引用するのは、ルカによる福音書からです。 「ちょうどその時、ある人…

因果応報という考え方の問題点(6)

前回に引き続き、因果応報という考え方の問題についての解説です。 6.新約聖書の場合(1) さて前回までのメルマガでは、主に旧約聖書から、因果応報を聖書がどのように捉えているかについて、解説してきました。 今回からは、新約からこの問題を見てみる…

因果応報という考え方の問題点(5)

前回に引き続き、因果応報という考え方の問題についての解説です。 5.エゼキエル書の中の記述 さて、こうした「親の因果が子供に報い」という思想を、批判的に捉えているのは、旧約聖書の他にもあります。 例えば、旧約聖書のエゼキエル書を、引用してみる…

因果応報という考え方の問題点(4)

前回に引き続き、因果応報という考え方の問題についての解説です。 4.親の罪を子供が負う必要はない さて旧約聖書の中には、「父の罪を子に報いる」という考え方がありました。 ですがその一方で、両親のゆえに子供をさばくのは誤りで、同時に子供のゆえに…

因果応報という考え方の問題点(3)

前回に引き続き、因果応報という考え方の問題についての解説です。 3.旧約聖書の場合(続き) さて旧約聖書の中には、善人は良い報いを受け、悪人は悪い報いを受けるという、(因果応報の)考え方があります。 ですが、旧約聖書の中には、単純にそうだとは…

因果応報という考え方の問題点(2)

前回に引き続き、因果応報という考えかたの問題についての解説です。 2.旧約聖書の場合 ではまず旧約聖書から、見てみることにしましょう。 旧約聖書の中には、神に従う人には神からの祝福があって、逆に神に逆らう人間には、神の裁きがあるという記述を、…

因果応報という考え方の問題点(1)

(前回の記事は、こちら) 今回からは、因果応報という考え方について解説をします。 1.因果応報とは? さて、今回からのメルマガのテーマは、 「因果応報」についてです。 これは、よく聞く言葉ではありますよね。 ですが、そもそも因果応報とは、一体な…

使徒会議の意義(5)

前回に引き続き、新約聖書の使徒会議についての解説です。 6.使徒会議がもたらしたもの さて今回まで解説をしたこの使徒会議は、言ってみれば、その後のキリスト教の方向性を決めた、重要な会議でした。 もともとキリスト教は、ユダヤ教が母胎となった宗教…

使徒会議の意義(4)

前回に引き続き、新約聖書の使徒会議についての解説です。 5.異邦人に律法を押し付けない 前回解説したように、この会議では異邦人に対しては、割礼を含む旧約聖書の戒律を、字義通りには守らせる必要はないという方向へ、進みました。 そして会議の中で、…

使徒会議の意義(3)

前回に引き続き、新約聖書の使徒会議についての解説です。 4.エルサレムでの会議 さて前回の解説のとおり、(パウロやバルナバといった)当時の主な弟子たちは、この問題について協議するために、エルサレムに集まりました。 「そこで、使徒たちや長老たち…

使徒会議の意義(2)

前回に引き続き、新約聖書にある使徒会議についての解説です。 3.使徒会議の背景(続き) 前回は、使徒会議の開かれた背景について、少し解説をしました。 そこで今回からは、さらに解説を進めたいと思います。 「さて、ある人たちがユダヤから下ってきて…

使徒会議の意義(1)

(前回の記事は、こちら) 今回からのメルマガでは、新約聖書の「使徒会議」についての解説です。 1.使徒会議とは? 今回からは、新約聖書の使徒行伝という所にある、「使徒会議」についての解説をしようと思います。 別名エルサレム会議とも、呼ばれます…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(15)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 19.終わりに さて今回までのメルマガでは、キリストとは何かについての解説でした。 いかがだったでしょうか? キリスト教では、旧約聖書と新約聖書を問わず、キリスト(旧約ではメシア)という存在…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(14)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 17.イエスは、何の救済者だったのか? 旧約聖書では、イスラエルの王や祭司たちに対して、キリスト(メシア)という称号が与えられていました。 しかし、キリストとよばれていたのは、それだけではあ…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(13)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 16.(理由その3)神との契約が更新されたから さて、イエスがキリストである3つ目の理由。 それは神との契約が、そもそも更新されているからです。 この神との契約が更新されたという考え方は、つ…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(12)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 15.(理由その2)イエスはあの世(天上)の祭司だから 新約聖書が、イエスをキリスト(メシア)とみなしている、二番目の理由。 それは、イエスが祭司(大祭司)だということです。 確かに旧約聖書…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(11)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 14.(理由その1)イエスは、この世の王ではなかったから さて新約聖書が、イエスをキリスト(メシア)だとみなしている理由のひとつ。それは、イエスが王だからです。 ですがこれまでの解説のとおり…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(10)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 13.なぜイエスはキリストと呼ばれているのか? さて前回までのメルマガでは、旧約聖書では、キリスト(メシア)とはどんな存在だったのか、そして新約聖書のイエス・キリストは、一見旧約聖書のキリ…

お詫びと訂正

(前回の記事は、こちら) メルマガの購読者の皆様へ メールマガジン、「聖書の読み方」の発行人の、neutral613です。 いつも、私の発行しているメルマガを購読していただき、ありがとうございます。 さて、3月1日(金曜日)に発行した、 「第87回 なぜ…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(9)

(これは実際には、3月1日に配信したものです。) 前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 12.イエスはイスラエルの救済者ではない(続き) 前回解説したとおり、新約聖書の時代に民衆が望んでいたのは、自分たちをローマ帝国の圧制から解…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(8)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 10.イエスはイスラエルの救済者ではない これまで解説のとおり、旧約時代には、キリスト(油注がれた者)と呼ばれるには、イスラエルの王、祭司、あるいは(イスラエル民族にとっての)救済者である…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(7)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 9.イエスは、イスラエルの祭司ではない さて旧約聖書では、神殿で奉仕をする祭司もまたキリスト、つまり油注がれた者と呼ばれていました。 しかし聖書をよく読んでみると、イエス・キリストは祭司とな…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(6)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 8.イエスは、イスラエルの王ではない これまでのメルマガの中で、旧約聖書ではイスラエルの王となった人物が、メシア、つまりキリストと呼ばれているということを解説してきました。 実は新約聖書も、…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(5)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 7.イエスはキリストではない? 前回までの解説では、主に旧約聖書を引用しながら、キリストとは何なのかについて解説をしました。 繰り返しになりますが、旧約聖書では神から聖別された人物に、油を注…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(4)

前回に引き続き、キリストという言葉の意味についての解説です。 6.イスラエルの解放者が、メシアと呼ばれているケース さて3つ目のケースは、イスラエルの民にとっての解放者(救済者)とみなされた人物が、油注がれた者、つまりメシアと呼ばれている場…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(3)

前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。 5.祭司に油が注がれるケース さて2つ目のケースは、神から聖別された祭司に油が注がれるケースです。旧約聖書の時代、ユダヤ教の中心は神殿でした。 イスラエルの神殿は、当初は幕屋と呼ばれる移動式…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(2)

前回に引き続き、キリストという言葉についての解説です。 3.キリストには3つの意味がある 前回の解説のとおり、古代イスラエルでは神から聖別された人物に、油を注ぐという慣習がありました。 これはイスラエルだけではなく、古代オリエントの世界では、…

なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(1)

(前回の記事は、こちら) 今回からは、キリストという言葉の意味について解説します。 1.そもそもキリストとは? 今回からのメルマガでは、キリストとは何かについて解説をします。 そもそも新約聖書では、イエス・キリストが中心的な人物ですね。しかし…

キリストの復活と聖書の信仰(13)

(前回の記事は、こちら) 今回は、聖書の信仰についての最後の解説です。 18.キリストの復活は、「つまづきの石」であり続ける 今回までのメルマガでは、キリストの復活についての解説をしてきました。いかがでしたか? キリストの復活は、新約聖書の中…

キリストの復活と聖書の信仰(12)

前回に引き続き、聖書の信仰についての解説です。 17.アブラハムとキリスト(3) さてパウロは、このアブラハムの信仰と、キリストの復活にはある共通点があるといいます。 それは、一体なんでしょうか? それは両者とも、「本来なら決してありえないこ…