前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。
15.(理由その2)イエスはあの世(天上)の祭司だから
新約聖書が、イエスをキリスト(メシア)とみなしている、二番目の理由。
それは、イエスが祭司(大祭司)だということです。
確かに旧約聖書では、神に仕える祭司のまた、キリスト(メシア)と呼ばれていたのでした。
ですが、これまで解説してきたように、イエスは一見すると、イスラエルの祭司となる資格のない人物です。
旧約聖書によれば、イスラエルの祭司となってよいのは、
イスラエル民族のなかでも、レビ族という部族のみでした。
それに対してイエスは、ユダ族という部族の出身です。
なので、そのままでは、彼はイスラエルの祭司となることができません。
ですが新約聖書はイエスの事を、イスラエルの祭司でもあったと言っています。
それは、一体何故でしょうか?
それはイエスがこの世の祭司ではなく、あの世(天上)の祭司として、
職務を果たしているからです。
新約聖書のヘブル人への手紙という箇所には、次のように書いてあります。
「さて、わたしたちには、もろもろの天をとおって行かれた大祭司なる神の子イエスがいますのであるから、わたしたちの告白する信仰をかたく守ろうではないか。」
(ヘブル人への手紙4章14節)
ここには、イエスが「大祭司」と呼ばれてますね。
また別の箇所には、
「以上述べたことの要点は、このような大祭司がわたしたちのためにおられ、天にあって大能者の御座の右に座し、人間によらず主によって設けられた神の幕屋なる聖所で仕えておられる、ということである。」
(ヘブル人への手紙8章1節ー2節)
とも書いてあります。「天にあって」と書いてあります。
いわばあの世(天上)のことです。
さて祭司とは神と人間の間に立ち、両者を仲介する人のことです。
旧約聖書の時代には、祭司は様々な儀式を執り行い、
イスラエルの民の罪をとりなす役割を担っていました。
そして新約時代も、本質的には同様です。
ただイエスの場合、この世ではなくあの世(天上)の祭司として、人間と神の間をとりなしている。
そう考えれば、イエスはキリスト(祭司)であるといっても、
矛盾はしないことになりますね。
次回に続きます。
(2024年3月13日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)