前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。
5.祭司に油が注がれるケース
さて2つ目のケースは、神から聖別された祭司に油が注がれるケースです。
旧約聖書の時代、ユダヤ教の中心は神殿でした。
イスラエルの神殿は、当初は幕屋と呼ばれる移動式の神殿でしたが、
イスラエルの3代目の王だったソロモンの治世に、エルサレムに建設されています。
エルサレムの神殿では様々な儀式を執り行われていましたが、その儀式を担っていたのが
祭司と呼ばれる人々でした。
彼らは旧約聖書の律法(特にレビ記に詳しい儀式の方法が記されています)に書かれた儀式を執り行い、
イスラエルの民と神との間をとりなすという、役割を担っていました。
今回は、モーセの兄だったアロンという人物が祭司(大祭司)として選ばれた場面を、
旧約聖書から引用したいと思います。
モーセについては、すでにみなさんもご存知かもしれません。
出エジプトの時、イスラエルの民をエジプトから脱出させたあのモーセです。
アロンは、このモーセの兄でした。
彼は最初の祭司でしたが、聖書の中には彼が神から聖別された証として、油を注がれる場面があります。
「また注ぎ油をアロンの頭に注ぎ、彼に油を注いでこれを聖別した。」
(レビ記8章12節)
こうして彼は油を注がれ、祭司職として聖別されます。
つまり、「油注がれた人物」となったわけですね。
また聖書の別の箇所には、祭司について、
「油注がれた祭司は、その子羊の血を取って、それを会見の幕屋に携え入り、そして祭司は指をその血に浸して、聖所の垂幕の前にその血を七たび注がなかればならない。」
(レビ記4章5節ー6節)
という規定があります。
ここでも、「油注がれた祭司」という表現が使われています。
つまり旧約聖書の時代、神から聖別された祭司は、メシア(キリスト)だったということですね。
次回に続きます。
(2024年2月11日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)