聖書の読み方

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なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(8)

 前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。

 

 10.イエスイスラエルの救済者ではない


  これまで解説のとおり、旧約時代には、キリスト(油注がれた者)と呼ばれるには、
イスラエルの王、祭司、あるいは(イスラエル民族にとっての)救済者である必要がありました。
 そのような人物に与えられる、いわば称号がキリスト(メシア)だったわけですね。
 ですがイエスは、イスラエルの王でもないし、また祭司でもありませんでした。
 それに一見すると,イエスイスラエルの解放者(救い主)とも言えないようです。

 

 11.民衆は、政治的なメシアを期待した
 さて新約聖書の時代には、ユダヤ人はローマ帝国に支配されていました。
 ですので当時の民衆にとっては、イスラエルの解放者(キリスト)というのはなにより、
ローマの圧制から自分たちを解放し、民族としての誇りを取り戻してくれるような、
そんな存在でした。
 確かに旧約聖書にはイスラエルの敵を一掃し、新たにイスラエルの王として君臨する、そのような存在として、メシアが描かれているこも事実です。

 

 「主はあなたの右におられて、
  その怒りの日に王たちを打ち破られる。
  主はもろもろの国のなかでさばきを行い、
  しかばねをもって満たし、
  広い地を治める首領たちを打ち破られる。
  彼は道のほとりの川からくんで飲み、
  それによって、そのこうべをあげるであろう。」
  (詩篇110篇5節ー7節)

 

 「わたしは主の詔をのべよう。
  主はわたしに言われた、『おまえはわたしの子だ。
  きょう、わたしはおまえを生んだ。
  わたしに求めよ、わたしはもろもろの国を
  嗣業としておまえに与え、
  地のはてまでもおまえの所有として与える。
  おまえは鉄のつえをもって彼らを打ち破り、
  陶工の作る器物のように彼らを
  打ち砕くであろう』と。」
  (詩篇2篇7節ー9節)

 

 ここには(イスラエルの)敵を一掃し、新たに支配者となるような、キリスト(メシア)像が
見て取れますね。
 イエスの時代の民衆達が期待していたのも、このような存在としてのキリストだったようです。
 
 次回に続きます。

 

 (2024年2月28日まぐまぐ!にて配信)

 

(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。

聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society

        1954,1955,1975,1984,2002)