前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。
17.イエスは、何の救済者だったのか?
旧約聖書では、イスラエルの王や祭司たちに対して、キリスト(メシア)という称号が与えられていました。
しかし、キリストとよばれていたのは、それだけではありません。
ユダヤ人に対する解放者(救済者)とみなされた人物も、
メシアだとよばれていました。
ですが、これまでの解説の通り、新約聖書のイエス・キリストは、一見イスラエルの救済者とは思えません。
しかし新約聖書はイエスを、キリスト(救済者)だとみなしているのです。
一体、何故でしょうか?
18.(理由その5)イエスは、人間の内面の問題(罪)から解放する救済者だから
なぜ新約聖書では、イエスをキリスト(救済者)だとみなしているのか?
それは彼が、人間の内面の問題、つまり「罪」から解放する救済者だと、
みなしているからです。
「彼は、私達の罪のための、あがないの供え物である。ただ、わたしたちの罪のためばかりではなく、全世界の罪のためである。」
(ヨハネの第一の手紙2章2節)
ここには、イエスが人間を「罪」から救う救済者だという記述がみられます。
それも単にイスラエル民族のためではなく、広く全人類のための救済者であるという
考え方も現れています。
罪というのは、言ってみれば、内面的な問題ですね。
だから、イエスのいう救いというのは、どこか抽象的なものでもあります。
だからでしょうか、新約時代の一般のユダヤ人たちは、
イエスがキリスト(メシア)だと、なかなか信じられなかったようです。
もっとも、イエスの真意を理解できなかったのは、ユダヤ人の人々だけではなく、
イエスの弟子たちだって同様でした。
まとめると、イエスが(人間の霊的な問題である)罪から解放する救済者だから、
新約聖書は彼をキリスト(救い主)だとみなしているわけですね。
次回に続きます。
(2024年3月20日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)