聖書の読み方

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なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(7)

 前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。

 

 9.イエスは、イスラエルの祭司ではない


 さて旧約聖書では、神殿で奉仕をする祭司もまたキリスト、つまり油注がれた者と呼ばれていました。
 しかし聖書をよく読んでみると、イエス・キリストは祭司となるための条件を、満たしていないように思えます。
 一体、なぜでしょうか?
 このことを理解するためには、まずイスラエルの12部族について、少し解説する必要があります。
 さてイスラエルの民族は、12の部族から成り立っています。
 それはルベン族、シメオン族、レビ族、ユダ族、イッサカル族、ゼブルン族、ガド族、アシェル族、ヨセフ族、ベンヤミン族、ダン族、
ナフタリ族の12部族です。

 

 これは、イスラエルの祖先ヤコブの12人の子供からなっているといわれています。
 もっともヨセフ族はまた、エフライム族とマナセ族の2つに分かれているので、この2つの部族を12部族に含める場合は、レビ族を除くことになっています。
 ではなぜこの12部族の話をしたのかというと、
 旧約聖書では祭司となるには、この12部族の中の、レビ族である必要があったからです。
 もっと言うと、祭司となることができるのは、レビ族の中でも、モーセの兄アロンの子孫だけでした。
 
 では新約聖書に話をもどすと、
 イエス・キリストは、祭司をつかさどるレビ族の出身ではありませんでした。
 これは、新約聖書の冒頭を読めばわかります。
 では、マタイによる福音書の最初の所を読んでみましょう。
 そこには延々と系図が記されていますが、その中に、

 

 「アブラハムはイサクの父であり、イサクはヤコブの父、ヤコブはユダとその兄弟たちの父、ユダはタマルによるパレズとザラとの父」
 (マタイによる福音書1章2節ー3節)

 

 という記述がありますね。
 ここにははっきりと、イエスがユダの家系、つまりユダ族の出身だという事が記されてます。
 
 これを読むとイエスは、祭司となるための条件であった、レビ族の出身ではないことになります。
 ましてや、アロンの子孫ではありません。
 
 つまりイエスは、祭司となる資格はないということになります。
 これは、キリスト(メシア)と呼ばれるための2つ目の条件だった、
イスラエルの祭司では、彼はなかったということなりますね。

 次回に続きます。

 

 (2024年2月25日まぐまぐ!にて配信)

 

(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。

聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society

        1954,1955,1975,1984,2002)