前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。
さて旧約聖書では、神殿で奉仕をする祭司もまたキリスト、つまり油注がれた者と呼ばれていました。
しかし聖書をよく読んでみると、イエス・キリストは祭司となるための条件を、満たしていないように思えます。
一体、なぜでしょうか?
このことを理解するためには、まずイスラエルの12部族について、少し解説する必要があります。
さてイスラエルの民族は、12の部族から成り立っています。
それはルベン族、シメオン族、レビ族、ユダ族、イッサカル族、ゼブルン族、ガド族、アシェル族、ヨセフ族、ベンヤミン族、ダン族、
ナフタリ族の12部族です。
これは、イスラエルの祖先ヤコブの12人の子供からなっているといわれています。
もっともヨセフ族はまた、エフライム族とマナセ族の2つに分かれているので、この2つの部族を12部族に含める場合は、レビ族を除くことになっています。
ではなぜこの12部族の話をしたのかというと、
旧約聖書では祭司となるには、この12部族の中の、レビ族である必要があったからです。
もっと言うと、祭司となることができるのは、レビ族の中でも、モーセの兄アロンの子孫だけでした。
では新約聖書に話をもどすと、
イエス・キリストは、祭司をつかさどるレビ族の出身ではありませんでした。
これは、新約聖書の冒頭を読めばわかります。
では、マタイによる福音書の最初の所を読んでみましょう。
そこには延々と系図が記されていますが、その中に、
「アブラハムはイサクの父であり、イサクはヤコブの父、ヤコブはユダとその兄弟たちの父、ユダはタマルによるパレズとザラとの父」
(マタイによる福音書1章2節ー3節)
という記述がありますね。
ここにははっきりと、イエスがユダの家系、つまりユダ族の出身だという事が記されてます。
これを読むとイエスは、祭司となるための条件であった、レビ族の出身ではないことになります。
ましてや、アロンの子孫ではありません。
つまりイエスは、祭司となる資格はないということになります。
これは、キリスト(メシア)と呼ばれるための2つ目の条件だった、
イスラエルの祭司では、彼はなかったということなりますね。
次回に続きます。
(2024年2月25日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)