聖書の読み方

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なぜイエスはキリストと呼ばれているのか?(11)

 前回に引き続き、キリストの意味についての解説です。

 

 14.(理由その1)イエスは、この世の王ではなかったから


 さて新約聖書が、イエスをキリスト(メシア)だとみなしている理由のひとつ。
それは、イエスが王だからです。
 ですがこれまでの解説のとおり、イエスイスラエルの王として、
即位したという事実はありません。
 しかし新約聖書では、イエスは「イスラエルの王」だと主張しています。
 それは、なぜでしょうか?

 それはイエスが、この世の王ではなく、あの世(天上)の王だからです。
 お分かりでしょうか?
 そう解釈をすれば、別にこの世で王として即位していなくても、イエスはキリスト(王)だといっても、辻褄は合いますね。
 では、もう少し詳しく解説をしていきましょう。

 以前の解説(第86回の解説)では、旧約聖書詩篇110篇という所を引用しました。
 その中に、次のような記述があります。

 

 「主はわが主に言われる、
 『わたしがあなたのもろもろの敵を
  あなたの足台とするまで、わたしの右に座せよ』と。」
 (詩篇110篇1篇)

 

 これは、キリスト(メシア)が、イスラエルの王として、王位に就くことを、預言した箇所です。
 そして新約聖書の中に、この箇所が引用されている場面があります。
 
 「それで、イエスは神の右に上げられ、父から約束の聖霊を受けて、それをわたしたちに注がれたのである。
  (中略)
  ダビデが天に上ったのではない、彼自身こう言っている、
  『主はわが主に仰せになった、
   あなたの敵をあなたの足台にするまでは、
   わたしの右に座していなさい』。」
 (使徒行伝2章33節ー35節)
 
 この箇所では、さきの旧約聖書の部分を引用していますね。
 これはイエスが、神の右(神の王的な権威)についたときのこととして、
引用しているわけです。
 つまり、王位についたというのとだいたい同じです。
 だからこの箇所は、天上で王位についたイエスのことを、語っていると考えてもいいと思います。

  つまりイエスは、天上の王(キリスト)であって、この世の王ではなかった。
 そう考えてみると、別にこの世のイスラエルの王ではなくても、
旧約聖書の記述と矛盾はしないことになりますね。

 次回に続きます。

 

 (2024年3月10日まぐまぐ!にて配信)

 

(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。

聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society

        1954,1955,1975,1984,2002)