聖書の読み方

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使徒会議の意義(5)

前回に引き続き、新約聖書使徒会議についての解説です。

 6.使徒会議がもたらしたもの


 さて今回まで解説をしたこの使徒会議は、
言ってみれば、その後のキリスト教の方向性を決めた、
重要な会議でした。
 もともとキリスト教は、ユダヤ教が母胎となった宗教です。
 そしてユダヤ教の教典であった旧約聖書には、
様々な戒律が記されていました。
 この戒律を守ることこそ、ユダヤ教では何より大切なことでした。

 

 ですがキリスト教では、イエス・キリストに対する信仰を、重視します。
 ユダヤ人であるか、異邦人であるかは重要ではなく、あくまで「信仰」によって人間は救われるというのが、
キリスト教の立場です。
 もしそうであれば、異邦人からキリスト教に入信した場合、
もはや旧約聖書の戒律を、文字通り守る必要性は、
なくなります。

 あと正直な所、この旧約聖書の戒律を、異邦人にまで守らせようとすれば、
キリスト教に入信する敷居が、かなり高くなってしまうことは、
否定できません。
 特に割礼などは、その主たるものですね。
 (もっとも、旧約聖書の律法を今もきちんと守っているユダヤ人は、
えらいなあと、私などは正直尊敬していますが。)

 

 このようにキリスト教は、ユダヤ教と同様、旧約聖書を彼らの教典として受け継いた一方、
その戒律を必ずしも尊守する必要は無いという考え方に立ちました。
これは、その後のキリスト教が発展していく上で、重要なことだったと言えます。
 その事が明白になったという所に、今回の「使徒会議」の意義が、
あったのだといえますね。
 
 使徒会議についての解説は、今回でおしまいです。

 

 (次回の記事は、こちら

 

 (2024年4月10日まぐまぐ!にて配信)

 

(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。

聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society

        1954,1955,1975,1984,2002)