聖書の読み方

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神の国

(前回の記事は、こちら

 

 今回は「神の国」について解説します。

 

 1.神の国とは?
  聖書では、しばしば神の国という言葉が出てきます。例えばイエスは、

 

 「まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えて与えられるであろう。」(マタイによる福音書6章33節)

 

 と言っており、また別の箇所では、

 

 「神の国は何に似ているか。またそれを何にたとえようか。一粒のからし種のようなものである。ある人がそれを取って庭にまくと、育って木となり、空の鳥もその枝に宿るようになる。」(ルカによる福音書13章19節)

 

 とも言っています。

 では、イエスのいう「神の国」とはいったいどのような所なのでしょうか?

 

 2.神の国とは、人間の内面の世界


 さて私達が神の国と聞くと、どのようなイメージを持つでしょうか? それは、いわゆる天国のイメージではないでしょうか? 

 正しく生きてきた人間が、死後に行くことのできる場所、それが天国の一般的なイメージです。では神の国も、そのような場所なのでしょうか? 確かに、それも間違いではありません。
 しかし新約聖書の中には、私達が一般に抱く天国とは異なる意味合いで、この「神の国」という言葉を用いている箇所があります。ルカによる福音書のなかで、イエスは次のように言っています。

 

 「神の国はいつ来るのかと、パリサイ人が尋ねたので、イエスは答えて言われた、『神の国は、見られるかたちで来るものではない。また『見よ、ここにある』『あそこにある』などとも言えない。神の国は、実にあなたがたのただ中にあるのだ』。」(ルカによる福音書17章20節ー21節)

 

 この箇所でのイエスの語る神の国は、私達が普段イメージする天国とは異なります。むしろ、ここでイエスは「神の国」という言葉を、人間の内面を指す言葉として使っているように思えます。
 彼は神の国を人間が到達することのできる、内的な境地という意味で使っていたのではないでしょうか?

 そして前回の解説と合わせれば、人間は心の有り様、考え方を転換すれば、それによって救われる。そしてそれによって到達できる内的な境地を、彼は神の国と呼んでいた、そう解釈することができるのではないでしょうか?

 次回は、ノンクリスチャン(クリスチャンでない人たち)の救済について解説します。

 

 (2023年5月14日まぐまぐ!にて配信)

 

(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。

聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society

        1954,1955,1975,1984,2002)