(前回の記事は、こちら)
今回は、悔い改めについて解説します。
1.悔い改めとは?
聖書の中では、悔い改めという言葉がしばしば出てきます。
新約聖書では、イエスが宣教を始めるとき、
「この時からイエスは教を宣べはじめて言われた、『悔い改めよ、天国は近づいた』。」
(マタイによる福音書4章17節)
と言ったと伝えられています。またマルコによる福音書には、
「『時は満ちた、神の国は近づいた、悔い改めて福音を信ぜよ』。」
(マルコによる福音書1章15節)
とも書いてあります。これを読むと、悔い改めとはなにか重要なものであることは、なんとなくわかります。しかし、そもそも悔い改めとは何なのでしょうか?
2.悔い改めとは、心を向けかえること
さて悔い改めというと、私達はしばしば(特にカトリックのような意味で)懺悔しなさいという意味にとらえがちです。つまり今までの罪を懺悔して、そして新しい生活に入るように努力しなさい。過去の自分を反省しなさい。そのような意味に捉えがちです。
たしかに、そうした意味もないとはいえません。
しかし、悔い改めはそういった意味だけではありません。
新約聖書の原文はギリシャ語で書かれています。そして、この悔い改めを意味するギリシャ語には本来「向きを変える、方向を転換する」という意味があります。
つまりこの言葉は今までの罪を懺悔しなさいというよりも、むしろ今までの心の有り様、物事の見方を転換しなさいという意味合いの方が近いと言えます。
そして次回解説する予定ですが、神の国という言葉も、私達が死後に行く場所という意味より(もっともそういう意味もあります)むしろ私達の内的な世界を指していると解釈したほうがいいような、そのような言葉です。
つまり悔い改めとは、心の有り様を変えれば、それによって内的な、神的な世界が心の中に現れるというニュアンスの方が適切だと言えます。
それが聖書が語る本来の「悔い改め」です。
次回は「神の国」について解説します。
(2023年5月10日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)