6.ユダヤ人の話した言葉
旧約聖書は、ヘブライ語と呼ばれる言葉で書かれています。
しかし新約聖書の時代にユダヤ人が話していたのは、ヘブライ語ではありません。
アラム語と呼ばれる言葉でした。
この言葉は、もともとペルシャ帝国の公用語で、古代オリエント世界では広く話されていました。
アラム語はヘブライ語と言語的によく似た言語で、イエスの時代には、人々は日常生活ではアラム語を話し、ヘブライ語で旧約聖書を親しんでいたようです。
「そして、少女の手を取って、『タリタ・クミ』と言われた。」(マルコによる福音書5章41節)
「天を仰いでため息をつき、その人に『エパタ』と言われた。」(マルコによる福音書7章34節)
と言ったとあります。
これは当時、彼らがアラム語を話していたことを物語っています。
さて、当時のパレスチナはローマ帝国の属州でしたが、当時のローマ帝国では西方がラテン語、東方ではギリシャ語が公用語となっていました。
当時話されていたギリシャ語は、古典ギリシャ語(プラトンの時代のギリシャ語)ではなく、より広い地域で話されるため文法などが簡略化した、コイネーと呼ばれるギリシャ語でした。
これは当時のヘレニズム世界で広く話され、新約聖書が記されたのもこのコイネー・ギリシャ語でした。
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(2023年9月20日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)