前回に引き続き、新約時代の時代背景について解説します。
2.ユダヤ教の状況(1)
さて今回は、イエスの時代のユダヤ教について解説します。当時ユダヤ教では、神殿が重要な役割を果たしていました。
この神殿の歴史は古く、紀元前10世紀のソロモンの時代に建設されたのが始まりとなっています。
しかし前回解説したように、その後ユダヤ人の国は南北に分裂してしまい、のちにバビロニアによって南のユダ王国が滅ぼされた際、神殿も同時に破壊されてしまいました。
ですが、ユダヤ人たちがバビロニアから帰還した後、彼らは神殿を再建します。このあたりの事情は旧約聖書のエズラ記に、詳しく描かれています。
そしてこの神殿は、キリストの生まれる前に、当時のヘロデ大王によって大幅に改修され、その壮大な建築は多くの民を魅了したといわれています。
福音書の中にも、イエスの弟子たちがその豪華さに見惚れたという描写があります。(マルコ13章1節)
では次に、ユダヤ教の宗派について解説します。
当時ユダヤ教には、大きくわけて3つのグループが存在しました。
ひとつめは、「パリサイ派」と呼ばれる宗派、これはもともと「分離派」を意味します。彼らは聖書=旧約聖書を重んじ、その解釈と教育に熱心な人々ではありました。
ユダヤ教では、旧約聖書の戒律=律法を守ることが重要です。しかし時代がくだるにつれ、その解釈が多様化し、また複雑なものとなっていきました。
そこで専門的に律法を研究する律法学者と呼ばれる人々が現れます。この律法学者の中には、パリサイ派に所属するものが少なくありませんでした。
次回に続きます。
(2023年9月10日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)