聖書の読み方

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新約聖書の時代背景(3)

 前回に引き続き、新約聖書の時代背景について解説します。

 

 4.ユダヤ教の状況(3)
 さて当時のユダヤ教には、もうひとつ重要な党派がありました。
 それは、エッセネ派と呼ばれる人々です。
 彼らは、新約聖書に直接は登場しませんが、当時の時代背景を理解する上で重要です。

 彼らは都市から離れたところに住み、共同生活を行い、財産を共有し、農耕によって生活していました。
 さてイスラエルでは前世紀の1947年に、死海写本と呼ばれる、重要な資料が発見されています。
 これは今から約2千年前の、旧約聖書や当時のユダヤ教に関する巻物で、
死海付近にあった洞窟で発見されました。
 当時これは一大センセーションを巻き起こし、20世紀考古学の最大の発見だと言われていました。
 この写本を残した集団のことをクムラン宗団といいますが、このクムラン宗団がエッセネ派の一部ではなかったかとも言われています。

 

 5.最高法院
 次に、当時の最高法院(サンヘドリン)についても解説をします。
 これは、当時のユダヤ地方を治めていた宗教的、政治的な自治機関のことです。
 70人の議員たちによって構成され、パリサイ派サドカイ派、律法学者たちなどがその構成員でした。
 当時のパレスチナは、ローマ帝国支配下にありましたので、
ローマ総督とともに、最高法院はユダヤ地方の治安にあたっていました。
 そして議長職は、大祭司が就いていました。
 この最高法院は、独自の警察をもち、また裁判権をもって、刑の執行もできました。
 しかし死刑宣告をする権限は、ローマ帝国に剥奪されていたといいます。
 
 次回に続きます。

 

 (2023年9月17日まぐまぐ!にて配信)

 

(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。

聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society

        1954,1955,1975,1984,2002)