前回に引き続き、終末について解説します。
4.新約聖書での出来事(続き)
さて前回のメルマガでは、旧約聖書にあるヨエル書という文書を引用しました。この箇所は、いわゆる「終末」について描写していると思われる部分ですが、これが新約聖書の中で引用されている箇所があります。
それは「聖霊降臨」とよばれる出来事が起こった箇所です。
聖霊降臨とは、キリストが復活したあと、弟子たちの見ている中で昇天し、その少しあとに、キリストの弟子たちに神の霊=聖霊が下ったという出来事のことを言います。
そしてこの出来事は、使徒行伝という文書の第2章に記されています。
この時、イエスの弟子たちの中でも特に重要な12弟子と呼ばれる人たちの中で、その筆頭のペテロという弟子が、群衆の前で話をする場面があります。
その時に彼が引用したのが、前回解説した「ヨエル書」の一部分でした。
「神がこう仰せになる。
終わりの時には、
わたしの霊をすべての人に注ごう。
そして、あなたがたのむすこ娘は預言をし、
若者たちは幻を見、
老人たちは夢を見るであろう。」
(使徒行伝2章17節)
ここで彼が引用しているのは、ヨエル書の2章28節のところです。これは神が、後の時代に神の霊(聖霊といいます)を誰にでも分け隔てなく与えるということを預言している箇所です。
そして、ペテロはこの聖霊降臨の出来事を、このヨエル書の予告が成就したとして、この箇所を引用したわけです。
しかし、ここでひとつ興味深い事があります。
それはこの聖霊降臨というのは、本来「終末」の時代に起こるはずの出来事だということです。
新約聖書のこの聖霊降臨(ペンテコステともいいます)の出来事が起こったのは、今からもう2000年近く前のことです。
つまりペテロは、本来世の終わりに起こるはずの出来事が、自分たちの時代に起こったと言ったことになります。
しかし私達の知っての通り、ペテロたちの時代からもう2000年間、世の終わり=終末は訪れませんでした。
これは、一体何故でしょうか?
ペテロが言ったことは、間違っていたのでしょうか?
(次回の記事は、こちら)
(2023年7月23日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)