聖書の読み方

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使徒行伝での出来事(2)

 前回に引き続き、新約聖書使徒行伝での出来事を解説します。

 

 3.ペテロの見た幻
 当時使徒ペテロは、ヨッパという所に滞在中でした。
そこで彼がある家の屋上にいたとき、奇妙な幻(夢?)を見ます。
 それは、彼が昼食を待っていたときのことでした。

 

 「彼は空腹をおぼえて、何か食べたいと思った。そして、人々が食事の用意をしている間に、夢心地になった。すると、天が開け、大きな布のような入れ物が、四すみをつるされて、地上に降りて来るのをみた。」
 (使徒行伝10章10節ー11節)

 

 そして、彼は次のような幻を見ます。

 

 「その中には、地上の四つ足や這うもの、また空の鳥など、各種の生きものがはいっていた。」
 (使徒行伝10章12節)

 

 そして幻の中で、これを屠って食べなさいとペテロに語る声が聞こえます。
 ペテロが、こんなものは食べたくないと言うと、

 

 「すると声が二度目にかかってきた、『神がきよめたものを、清くないなどと言ってはならない』。」
 (同上10章15節)

 

 と叱責されたといいます。
 そこで、彼は目が覚めたといいます。
 奇妙な幻ですね。

 さてこの出来事を理解するためには、旧約聖書の食物規定について知っておく必要があります。
 これはすでにご存知の方もいるかもしれませんが、
ユダヤ教には、食物規定という戒律が存在します。
 これは旧約聖書レビ記11章に基づいています。
 この中でユダヤ民族が食べてよいものと、食べてはならないものが定められています。
 例えば豚、イカ、タコ、エビや貝類などは食べてはいけないとあります。
 また乳製品と肉を組み合わせることも禁止されているなど、
かなり細かな規定となっています。

 

 現在でもユダヤ教徒の人たちは、この食物規定を守っています。(もっともあまり厳密に守っていない人もいるようですが。)
 そして、実はこの規定がこの出来事を理解する上での、重要な布石となっているのです。

 次回に続きます。

 

 (2023年11月29日まぐまぐ!にて配信)

 

(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。

聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society

        1954,1955,1975,1984,2002)