3.ペテロの見た幻
当時使徒ペテロは、ヨッパという所に滞在中でした。
そこで彼がある家の屋上にいたとき、奇妙な幻(夢?)を見ます。
それは、彼が昼食を待っていたときのことでした。
「彼は空腹をおぼえて、何か食べたいと思った。そして、人々が食事の用意をしている間に、夢心地になった。すると、天が開け、大きな布のような入れ物が、四すみをつるされて、地上に降りて来るのをみた。」
(使徒行伝10章10節ー11節)
そして、彼は次のような幻を見ます。
「その中には、地上の四つ足や這うもの、また空の鳥など、各種の生きものがはいっていた。」
(使徒行伝10章12節)
そして幻の中で、これを屠って食べなさいとペテロに語る声が聞こえます。
ペテロが、こんなものは食べたくないと言うと、
「すると声が二度目にかかってきた、『神がきよめたものを、清くないなどと言ってはならない』。」
(同上10章15節)
と叱責されたといいます。
そこで、彼は目が覚めたといいます。
奇妙な幻ですね。
さてこの出来事を理解するためには、旧約聖書の食物規定について知っておく必要があります。
これはすでにご存知の方もいるかもしれませんが、
ユダヤ教には、食物規定という戒律が存在します。
これは旧約聖書のレビ記11章に基づいています。
この中でユダヤ民族が食べてよいものと、食べてはならないものが定められています。
例えば豚、イカ、タコ、エビや貝類などは食べてはいけないとあります。
また乳製品と肉を組み合わせることも禁止されているなど、
かなり細かな規定となっています。
現在でもユダヤ教徒の人たちは、この食物規定を守っています。(もっともあまり厳密に守っていない人もいるようですが。)
そして、実はこの規定がこの出来事を理解する上での、重要な布石となっているのです。
次回に続きます。
(2023年11月29日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)