前回予告した通り、今回からは聖書の「契約」について解説します。
1.聖書の契約とは?
これから解説するのは、聖書の「契約」という考え方についてです。
聖書ではこの契約が重要で、いわばこれが中心的なテーマとなっています。聖書は大きく分けて、旧約聖書と新約聖書の2つから成り立っていますが、この旧約、新約というのはそれぞれ「古い契約」と「新しい契約」を指しています。
しかし、宗教に契約という概念を持ち込むのは、日本人にとって少しわかりにくいのではないでしょうか?
神と契約を結ぶなどといわれても、はて、なんのことだろうといぶかんでしまう、そんな人も少なくないのではないでしょうか?
では、聖書の指している契約とは、そもそもどんな契約なのでしょうか?
2.2種類の契約
さて契約というのは、私達にとって身近なものだといえます。モノの売り買いをしたり、部屋を借りたり、就職することだって契約だといえます。しかし、ここでは宗教的な契約という観点に絞って説明したいと思います。
聖書では旧約新約問わず、神と人間が契約を結ぶというのが、中心的なテーマとなっています。この場合、神と人間との間の関係は、次の2つの契約に分類できると思います。
ひとつめは「上下契約」、これはあたかも軍隊で部下にとって上官の命令が絶対的であるように、絶対的な存在=神に対して、人間が絶対的に服従する関係、それを上下契約と呼びましょう。
ふたつめは「対等契約」、これは2者の対等な人間同士が、対等な立場で契約を結ぶことです。ここでは、仮にどちらかが契約を破ったのであれば、相手はその契約を破棄してもよい、そういった関係です。
さて聖書のいう契約とは、この2つのうちのどちらに近いのでしょうか?
(次回に続きます)
(2023年5月3日まぐまぐ!にて配信)