聖書の読み方

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「伝道の書」の伝えたいこと(4)

 前回に引き続き、伝道の書について解説をします。

 

 5.伝道者の見た世界(2)
 さて、彼はこの世の富や知恵に、対して期待はしません。
 またこの世の有様にも、空しさを感じます。
 一体何故でしょうか?
 なぜなら、この世界は、善人が必ずしも勝つのではなく、しばしばその逆が起こることがあるからです。

 彼は、次のように言っています。

 

 「地の上に空な事が行われている。すなわち、義人であって、悪人に臨むべき事が、その身に臨む者がある。また、悪人であって、義人に臨むべき事が、その身に臨む者がある。わたしは言った、これもまた空であると。」
 (伝道の書8章14節)

 このようにこの世は、正しい人間が必ずしも幸福になれるわけではありません。
 逆もまた然りです。
 そして、彼は社会正義にも、たいして期待はしていません。

 「わたしはまた、日の下に行われるすべてのしえたげを見た。見よ、しえたげられる者の涙を。彼らを慰める者はない。しえたげる者の手には権力がある。しかし彼らを慰める者はいない。」
 (伝道の書4章1節)

 

 更に、彼は未来にもたいして期待はしません。

 「愚者は言葉を多くする、しかし人はだれも後に起こることを知らない。
 だれがその身の後に起こる事を、告げることができようか。」
 (伝道の書10章14節)

 人間はいくら努力しても、災難がいつ巡ってこないとも限りません。なぜなら、

 「しかし時と災難はすべての人に臨む。」
 (伝道の書9章11節後半)

 からです。


 伝道の書を読むと、この伝道者という人物は、この世の出来事を、なんでも皮肉り、否定し、嘲笑しているかのように感じます。
 では果たして、この伝道者は何が言いたかったのでしょうか?
 そして、この伝道者が行き着いた結論とは、一体なんだったのでしょうか?

 次回に続きます。

 

 (2023年10月25日まぐまぐ!にて配信)

 

(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。

聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society

        1954,1955,1975,1984,2002)