(前回の記事は、こちら)
今回からは、伝道の書を取りあげたいと思います。
1.伝道の書とは?
今回取り上げるのは、旧約聖書のなかの「伝道の書」という所です。
これは、旧約聖書では箴言の次に置かれている文書です。
「伝道の書」とありますが、このタイトルは原語では、「集会で語る人」あるいは「伝道者」という意味だといいます。
つまり伝道の書の内容は、言ってみれば「集会で語る人の言葉」だと言えますね。
さてこの伝道の書ですが、これは旧約聖書、いや聖書全体から見ても、異色とも言える内容です。
なぜならこの伝道の書を読むと、これはいわゆる宗教的な文書とは、全く違った印象を受けてしまうからです。
さてこの伝道の書は、次のような書き出しから始まります。
「空の空、空の空、いっさいは空である。」
(伝道の書1章2節)
続いて、次のように続きます。
「日の下で人が労するすべての労苦は、その身になんの益があるか。世は去り、世はきたる。しかし地は永遠に変わらない。日はいで、日は没し、その出た所に急ぎ行く。」
(伝道の書1章3節ー5節)
いかがでしょうか?
どこか、厭世的な雰囲気がありますね。
ここで「空」という言葉が使われています。これは、もともと旧約聖書の書かれたヘブライ語では、呼吸を意味する言葉です。
つまり、呼吸がいつまでも繰り返すように、人生もまた「空虚な繰り返し」にすぎない。
この言葉は、そうしたニュアンスで使われているようです。
次回に続きます。
(2023年10月15日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)