聖書の読み方

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新約聖書の時代背景(6)

前回に引き続き、新約聖書の時代背景について解説します。

 

 7.当時の社会情勢
 さて当時のパレスチナは、ローマ帝国支配下にありました。
 そこでローマ帝国は、自身の立場に近いヘロデ王家を立て、彼らにこの地方を統治させていました。
 このヘロデ王家の中では、ヘロデ大王が重要です。

 ヘロデ大王エドム人を父親にもち、もともとユダヤ人ではありませんでした。
 しかし、ユダヤ人の風習に馴染んでいたといいます。
 彼は父親とともに、ユリウス・カエサルジュリアス・シーザーですね)と友好関係にあり、彼はガリラヤの代官となっていました。

 

 一時期はローマに亡命し、その後ローマの元老院の支持を取り付けて、紀元前37年に王に即位しています。
 彼は後に、オクタヴィアヌスローマ帝国の初代皇帝となる人物)に取り入って、ヨルダンやシリアの領地も与えられたといいます。
 彼はカエサレアやサマリアなどの主要都市に、ローマ風の公共建築物を建設し、また首都エルサレムの神殿を豪華に改修するなど、
 民の歓心を持とうと努めていました。


 しかしユダヤ人にとって彼は、いわばローマ帝国の傀儡=手先であり、また専制君主で暴君でもあった彼は、民からの人気はなかったといいます。
 また晩年には精神的に非常に不安定となり、自身の権力を脅かすとみなせば、王妃や親族までをも殺害するようになったと言われています。
 彼の死後パレスチナは、彼の3人の子供によって統治され、残りの領土はローマが支配することになりました。

 次回に続きます。

 

 (2023年9月24日まぐまぐ!にて配信)

 

(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。

聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society

        1954,1955,1975,1984,2002)