10.散在のユダヤ人と、旧約聖書の翻訳
新約聖書の時代、ユダヤ人はパレスチナ地方のみならず、ローマ帝国の各地に散在していました。
そして彼らは、新約の時代よりかなり前から、さまざまな地域に散在していました。
しかしこのように各地に散在し、その土地に馴染むにつれ、ある問題に直面することになります。
それは彼らが、もともと話していた母国語を、忘れてしまうことです。
ユダヤ人は、もともとヘブライ語という言葉を話していました。
なので、旧約聖書もヘブライ語で書かれています。
(もっとも一部例外はあり、エズラ記、ダニエル書、エレミヤ書、創世記は、一部でアラム語が使われています。)
しかし、彼らがヘブライ語を話せなくなるにつれ、聖書を他の言語に訳す必要が出てきました。
そこで紀元前3世紀頃、エジプトのアレキサンドリアという所で、旧約聖書の翻訳がなされることになりました。
それは「70人訳聖書」と呼ばれ、当時ヘレニズム世界で広く話されていたコイネーというギリシャ語に翻訳されたものでした。
この70人訳聖書は重要な翻訳となり、新約が旧約聖書を引用する際は、70人訳を引用することが多くなっています。
次回に続きます。
(2023年10月4日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)