(前回の記事は、こちら)
前回に引き続き、終末について解説します。
5.ペテロたちの勘違い?
さて前回、使徒行伝の中で「聖霊降臨」という出来事について記されていると解説しました。
そのとき、ペテロという弟子が、それが旧約聖書の「ヨエル書」の預言の成就だといったということと、その「ヨエル書」は、本来終末について預言したものであるということも、解説しました。
しかし、彼らの時代から2千年もの間、「世の終わり=終末」は訪れませんでした。
それは、現代の私達にはよくわかりますね。
では結局、ペテロたちのいったことは間違いだったのでしょうか?
彼らは、まだ来てもいない「終末」の出来事が起こったのだと勘違いしただけだったのでしょうか?
6.終末とは「神の義が貫徹すること」
さて、世の終わり=終末というと、皆さんは何をイメージするでしょうか?
一般的には、この世の終焉、天変地異などをイメージすることが多いのではないでしょうか?
事実、ヨエル書の記述を読むと、終末についてそのような描写がなされていることも事実です。
しかし、ここで重要なことは、聖書によると終末とは本来、「神の支配」が貫徹するときだという点です。
神の意志が完全に成就するとき、そのことがまさに終末を意味します、
使徒行伝で書かれている「聖霊降臨」の出来事というのは、言ってみれば、「神の国」つまり「神の支配」が
段階的に成就した出来事だということができます。
だから、ペテロはヨエル書の描く「終末の出来事」は、
自分たちに起こった(聖霊降臨という)出来事と同一視したわけです。
だからペテロたちの理解が、間違っていたというわけではありません。
(次回の記事は、こちら)
(2023年8月2日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)