前回に引き続き、聖書の理解にとって大切な、
「律法」の解説をします。
16.聖書のなかの律法の用法
さて前回は「律法」という言葉には、
いくつかの意味があると、
解説しました。
それは大きく分けると、
1.神がイスラエル民族に与えた戒律。
2.その戒律が記された書物。具体的には旧約聖書の創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記の5つの文書。
3.(しばしば)旧約聖書全体。
の3つの意味で、使われています。
では、まず1番目の用法について、見ていきます。
聖書の中ではまず、律法とは神がイスラエルの民に与えた倫理的、宗教的な戒律の事を指します。
この律法を守ることが、イスラエル民族にとって最も重要なことでした。
「イスラエルよ、いま、わたしがあなたがたに教える定めと、おきてとを聞いて、これを行いなさい。そうすれば、あなたがたは生きることができ、あなたがたの先祖の神、主が賜わる地にはいって、それを自分のものとすることができよう。」
(申命記4章1節)
これが、律法の意義ですね。
「あなたがたはわたしが、きょう、あなたがたに命じるこのすべての言葉を心におさめ、子供たちにもこの律法のすべての言葉を守り行うことを命じなければならない。」
(申命記32章46節)
続いて、2つ目の用法。
律法という言葉はしばしば、この律法の戒律が記された文書のことを指します。
具体的に言うと、旧約聖書の最初の5つの書物、つまり創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記の5つの文書です。
「また、安息日に宮仕えをしている祭司たちは安息日を破っても罪にはならないことを、律法で読んだことがないのか。」
(マタイによる福音書12章5節)
これは新約聖書のイエスの言葉ですが、
これはこの2つ目の用法で使われていると、
言えますね。
さて、次は3つ目の用法です。
律法という言葉は、聖書ではしばしば、
旧約聖書全体を指す際にも、使われる言葉です。
「だから、何事でも人々からしてほしいと望むことは、人々にもそのとおりにせよ。これが律法であり預言者である。」
(マタイによる福音書7章12節)
これは山上の垂訓の中の一節ですが、
この中でイエスが、「律法と預言者」という言葉で、
旧約聖書全体をさしていることが、
わかります。
このように、聖書では「律法」は、
こうしたいくつかの意味で使われる言葉です。
ですので聖書を読む際は、
この点に少し意識すると、よりわかりやすくなるのではないかなと、
私などは思ってます。
次回に続きます。
(2024年9月11日まぐまぐ!にて配信)
(このブログでは、日本聖書協会発行の口語訳を引用しています。
聖書 口語訳: ©日本聖書協会 Japan Bible Society
1954,1955,1975,1984,2002)